円錐ドリッパーとうるおいドリッパー(1)

円錐ドリッパーは近年ドリップ式の主流になっている感があります。これはメーカーの宣伝もあるでしょうが、おそらくそれまでのメリタ式、カリタ式より注湯の制御がきくというところに人気があるのだろうと思われます。当初はプロ向きとされていましたように、抽出技量の低い方がこれを使いますと淹れるたびに味がかわってしまうという結果になります。つまり、湯の注ぎ方による影響が出やすく、上手に淹れるのが難しいのでそれだけコーヒー教室が必要になるということになっているものと思います。

ドリップ式の淹れ方は、コーヒー粉の中にある成分をより多く取り出すのに優れています。高品質のコーヒー粉であれば悪い成分が少ないので淹れ方によらず雑味が出にくいのに対して、低品質のコーヒー粉であれば悪い成分も多いのでそれを出さないよう上手に淹れないと雑味の多いコーヒー液になってしまいます。ということは、抽出技量のない人がよいコーヒー液を取り出すには高品質のコーヒー粉をつかうのがよいということになります。これはコーヒーに限らずいわば当たり前のことで、新鮮でよい材料を使えば料理が苦手な人にもおいしい料理ができることと同じことでしょう。低品質のコーヒー粉からよいコーヒー液を取り出すにはどういう方法があるのでしょうか。技量の高い方であれば、粒度を変える、粉量を増やす、湯温を変える、抽出時間を変えるなど、コーヒー粉にあわせて上手によいコーヒー液を取り出すことができるかもしれません。しかし、これは注湯をしている約3分間もの間、毎回同じパターンの注湯が安定してできるだけの技量があってのことです。特に修練をしていない一般の方は、注湯そのものが安定していないため淹れるたびに取り出せる成分が変わってしまうので、味が変わるのです。これではよい抽出条件を見つけ出すことはできません。