さらに追及するには
ここまでは、具体的なイメージをもっていただくため湯温を85℃、ひたし時間を2分としてきましたが、コーヒー粉によっては90℃以上のもっと高い温度がよい場合があります、逆に80℃より低い温度がよい場合があります。ひたし湯温度はそのままで、注湯温度だけ下げるのもコーヒー粉によっては効果があります。漉し足しや、半返しのときはひたし時間は2分より短いほうがよいでしょう。 ひたしのための湯量が30mlで渋みが残るような場合は、減らして20mlにしてみてください。注湯量も50mlにこだわることはありません。40mlあるいは30mlにすれば、渋み成分の出方が抑えられます。さらに、コーヒーミルがあれば、粒度を下げてたとえば細挽きにすると抽出される成分が多くなります。出来上がりのコーヒー液の濃さが足りない場合は粒度を下げてみましょう。
半返し
品質のよいコーヒー粉の場合、うるおい式基本で抽出したあとのコーヒーかすにもまだよい成分が残っている可能性があります。コーヒーかすにさらに注湯すれば残った成分を取り出すことができますが、濃度のうすい状態になりますので渋みが出てくる可能性があります。渋みがある場合は、仮説2を用いて渋み成分をかすに吸着させる操作を行います。具体的には、二度目の抽出で出てくるコーヒー液を補助容器に受け、それを再度コーヒーかすにかけます。取り出した抽出液は一度目の抽出液に加えます。この操作を「半返し」と呼んで、「打ち返し」と区別します。
計量と補助のため試飲カップを2つ使います。
半返し手順
1〜3.うるおい基本手順
4.内カップを試飲カップの上に乗せ、新たに少量の湯を注湯する
5.試飲カップに下りたコーヒー液を、内カップのコーヒーかすに注ぐ
6.内カップの穴から下りるコーヒー液を外カップにあるコーヒー液に足す
外カップにできたコーヒー液を好みによりうすめて飲みます。
漉し足し
品質のよいコーヒー粉の場合、うるおい式基本で抽出したあとのコーヒーかすにもまだよい成分が残っている可能性があります。コーヒーかすにさらに注湯すれば残った成分を取り出すことができますが、濃度のうすい状態になりますので渋みが出てくる可能性があります。渋みが出てくるのか出てこないのか、それは実際にやってみればすぐわかります。渋みがなければその抽出液を一度目の抽出液に追加します。
計量と補助のため試飲カップを2つ使います。
漉し足し手順
1〜3.うるおい基本手順
4.内カップを試飲カップの上に乗せ、新たに少量の湯を注湯する
5.試飲カップに下りたコーヒー液を、外カップにあるコーヒー液に足す
外カップには基本手順より多いコーヒー液ができますので好みでうすめて飲みます。
手順4で試飲カップにできたコーヒー液の味をみて渋みがあるようでしたら漉し足しは適切でありませんので次に述べます半返しをしてください。
まろやか/渋み仮説2
つぎの仮説もフレーバーコーヒー「珈琲科学館」を参考に、うまみをまろやか成分に言い換えたものですが、これをまろやか/渋み仮説2と呼んで抽出に応用することを考えます。
まろやか/渋み仮説2
まろやか成分:吸着されにくい
渋み成分 :吸着されやすい
抽出の際コーヒー粉がコーヒー液に浸っている状態にありますが、その状態においてコーヒー粉からは新たにコーヒー成分が湯(水)に移行する一方、コーヒー液の成分は再びコーヒー粉に移行していくという現象(二相分配)が起きています(旦部幸博著「コーヒーの科学」より)。まろやか/渋み仮説2と、二相分配を合わせますと、次のように解釈することができます。いったん取り出した抽出液をコーヒーかすに通した場合、まろやか成分はかすに吸着されにくく、渋み成分はかすに吸着されやすい。いったん取り出した抽出液の温度は注湯温度より低くなっています。従って、初めの注湯温度ではコーヒー粉から湯に移行した渋み成分も、二度目に通すときは、かすの方に移行しやすいと考えられます。一方でまろやか成分は、温度が低くても溶け出すので打ち返し(二度漉し)すると濃さが増すことになります。